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環境制約を考慮した火力発電所の起動停止問題

研究目的・概要

電力系統は電気エネルギーの発生(発電)、輸送(送配電)、利用(消費)をつかさどる大規模な一体システムですが、膨大な発生、輸送に係わることから環境への影響も極めて大きいと言えます。したがって、環境への負荷を極力軽減しつつ良質で安定した電力を供給するためのシステム計画運用が必要となってきます。また、システム中で運用に際し最も環境負荷が大きいのは火力発電であることは自明です。そこで本研究では環境に配慮した火力発電所の起動停止問題(運用計画)に着目することとしました。そして、環境制約としては窒素酸化物や硫黄酸化物の排出など様々ある中で、二酸化炭素の排出に関して取り扱うこととしました。これは窒素酸化物や硫黄酸化物の排出に関してはそれぞれの施設においてすでに十分な対策が進んでいる一方で、二酸化炭素の排出に関しては様々な努力がまさに今行われているという現状があるからです。この研究では火力発電の起動停止問題において環境への配慮(二酸化炭素排出量)と経済性の2つの面からそれらが折り合う点を探求するものです。

起動停止問題のシミュレーション手法に関する研究

起動停止計画(発電スケジューリング)を求めるには様々な手法があり、代表的なものとして最適化手法である動的計画法(DP)や、準最適化手法のラグランジュ緩和法、タブサーチなどがあります。また、この他にもヒューリスティック手法なども用いられ、その手法は多岐に渡ります。これら様々な手法から起動停止問題を解くのに最適な手法を研究します

起動停止計画を改善した際の二酸化炭素排出量削減効果に関する分析

上記のうちから最適な手法を用いて定式化した問題をシミュレーションし、求められた解(スケジュール)を検討、考察します。また、定式化の段階では様々な制約(需給条件、瞬動予備力の確保、最小起動(停止)条件、等)がある中で、どこまで詳細な条件を組み込んだシミュレーションを行う必要があるのかが問題となりますが、それぞれの条件の発電スケジューリングを決める際の影響度を求め、最適な定式化の研究も行っていきます。 この研究では環境に配慮して経済性を考慮しないスケジュールを求めるわけではなく、経済性と環境への配慮の2点に立った発電スケジュールを求めることを目的としています。起動停止計画を改善した場合の二酸化炭素排出量削減効果に関する分析から、コスト対削減効果の関係を研究していきます。どうしても環境への配慮を行えば経済性は悪くなりますが、そこで得られた環境への負荷軽減がこの研究の過程で貨幣価値に換算できるのではないかと期待しています。

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