競争的電力市場における託送運用に関する研究
研究目的・概要
託送とは、新規発電事業者が既存電力会社の送電設備を利用して他の電力事業者や最終需要家に電力を供給することであり、託送による電力が電気事業者のネットワークを使用する場合は、あらかじめ定められた託送料金を支払う取り決めとなっている。公平な託送料金の設定は、託送における重要な問題の一つとなっており、新規発電事業者の参入や送電網の効率的な運用の点から見てもその必要性は一層高まりつつある。
本研究は、公平な託送料金設定として、発電事業者による託送の各送電設備に対する潮流責任度(送電線への負担の程度)に基づく料金設定が合理的であると考え、潮流責任度に基づく料金設定を実施するために必要となる託送経路を特定する新たな手法を提案するものである。一方、系統運用者の立場に立つと、託送実施にあたっては、送電線混雑発生時おける迅速な解消操作が求められている。本研究は、上記問題に対しても新たな解決策を提案するものである。
拡張感度解析に基づく託送経路特定手法
本テーマは、潮流責任度に基づく料金設定を実施するために必要となる託送経路を特定する新たな手法として、感度が有用であることに着目し、感度法による託送経路特定手法を提案するものである。また、従来の感度法では、託送経路を特定できるケースが発電事業者と需要家が一対一の場合に限られるため、感度法を拡張することにより、競争環境下におけるあらゆる託送状況下において、託送経路を特定する手法についても検討を実施するものである。
