NAS電池の運用実態調査とCO2排出量削減効果解析研究
研究目的・概要
昨今、CO2排出による地球温暖化や化石エネルギー資源の枯渇が深刻な問題になってきています。日本でも地球温暖化防止会議(COP3)で決定されたCO2排出削減目標に向けて、さまざまな努力が続けられています。電力貯蔵用蓄電池システムBESS(Battery Energy Storage System)は、その対策として世界でも期待されています。NAS電池(Sodium and Sulfur Battery)は、最も有力なBESSの一つであり、電力負荷率のための平準化機能や、周波数変動を抑制する電力系統安定化機能を併せ持つことから、日本でも普及が進んでいます。また、負荷平準化によるCO2排出削減効果・風力発電、太陽光発電の出力変動吸収効果など、環境面にも有利です。本研究室では以下のような研究を行っています。
NAS電池の運用実態調査と解析
早稲田大学では、埼玉県本庄キャンパスに2004年2月より定格出力100kWのNAS電池を導入し、現在に至るまで安定な運転を行っています。本研究室では、本庄キャンパスに設置されているNAS電池の電圧・電流・電力量などの運用データを用いて、NAS電池運用実績・電池内部の実態について調査・解析を行っています。


NAS電池導入によるCO2削減効果の分析
NAS電池は負荷平準化に有効な電力貯蔵システムとして普及していますが、CO2排出が少なくコストの安い発電機を使って夜間に充電をし、CO2排出が多くコストが高い発電機の替わりに昼間で放電することで、経済的にも環境的にも有利であると期待されています。本研究では、先進国のような既存の発電機がある場所にNAS電池を導入する場合や、発展途上国のようにこれからシステムを造る場所にNAS電池を導入する場合など、さまざまなケースを想定し、NAS電池導入によるCO2排出削減効果を分析する。