ノーダルプライス(地点別電力供給コスト)の構成要素分析に関する研究
研究目的・概要
電力白由化の進展により、電気事業者は競争力を強化するため、さらなるコストダウンが求められています。本研究では、ノーダルプライス(地点別電力供給コスト)の構成要素を詳細に分析する手法を関発し、地点の電力供給コストの詳細情報を出力することにより、電力系統運用者(一般電気事業者、lSO等)の運用コスト(燃料コスト.送電線混雑コスト等)の分析を支援します。


研究開発項目及び研究成果
本研究では、ノーダルプライス算出手法およびノーダルプライス構成要素分解手法を開発しました。図3にノーダルプライス構成要素分解フロー、図4にIEEJ EAST 10機系統モデルを用いた計算例を示します。
[ノーダルプライス算出手法]
系統構成、発電機燃料費、需要量、発電機出力上下限制約、送電線運用制約などの入力条件に従い、交流法潮流計算をベースとした最適潮流計算(AC-OPF)により、燃料費最小と種る需給均衡状態(最適状態)求め、ノーダルプライスを算出します。
[ノーダルプライス構成要素分解手法]
最適状崩の条件式(KKT条件)を利用して、ノーダルプライスを分解することによりノーダルプライスの構成要素を算出します。AC-OPFによる詳細な計算により、有効電力のほか、無効電力、電圧、送電ロスを考慮した分析ができます。


結論
各地点の電力供給コストの詳細情報を出力することより、各地点で需要が増加した際の増分コストの要因を分析することができます。この情詳細報は、発電機運用や送電混雑管理の効率化に利用できます。また本手法は、PJMやNewYork lSOなどの地点別限界価格 (Locational Marginal Price:LMP)市場のLMP分析や混雑分析にも適用できます。
今後の課題として、さらに大規模な実電力系統への適用が挙げられます。