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線形計画法による変電所変圧器騒音レベル最適化に関する研究

研究目的・概要

1次変電所など都市部の古い変電所では、都市化の進展に伴い用途地域が変更され、騒音規制が強化されることがあります。この場合、騒音源となる複数の変圧器の取替えか低騒音化改造が必要となりますが、敷地境界での新規制値を満足する最適な(最小コストとなる)変圧器騒音レベルの組み合わせを決定しなければなりません。
本研究は、数理計画法の1手法である「線形計画法」を応用した実用的な最適変圧器騒音レベル決定手法を開発し、モデル変電所および実変電所に適用してその有効性を確認したものです。

研究開発項目及び研究成果

変電所の騒音を検討する際は、音源となる変圧器の騒音レベルや寸法(幅、奥行き、高さ)ならびに敷地境界までの距離などをパラメータとした実験式により音圧レベルの距離減衰を求め、これを合成して境界での騒音値を推定しています。… 「順問題」
境界での規制値が変更された場合、これを満たすような複数の変圧器音圧レベルの組み合わせを決定する必要がありますが、これまでは順問題を試行錯誤的に繰り返す等の方法を取っており、手間がかかることに加え、結果の最適性が保証されませんでした。
これに対し本研究では、距離減衰の実験式と境界での規制値から導出した拘束条件の下で変圧器の音圧レベル合計値を目的関数に選び、それを最大にするという線形計画問題に定式化し、境界での規制値を満足する最適な(必要低減量が最小となる)変圧器音圧レベルの組み合わせを単一の計算により求めることとしました。… 「逆問題」
開発したアルゴリズムを①モデル変電所(変圧器2台、騒音規制値1種)ならびに②実変電所(変圧器5台、騒音規制値2種)に適用した結果は、いずれも規制値を満足しており、所要の変圧器音圧レベル低減量は、従来手法よりも少ないことがわかりました。

fig1
fig2
fig3

結論

これまでの研究により、従来の試行錯誤による繰り返し計算など準最適手法に比べ、線形計画法を用いた本手法は1回の計算で最適解が求まることが確認できました。
今後は、対策の対象とする変圧器を一部の変圧器に限定するなど、実際の現場二一ズに即したアルゴリズムを追加するとともに、他の数理計画法の適用可能性についても検討してみたいと思います。

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